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伏黒甚爾(ふしぐろとうじ)は伏黒恵の実父で、旧姓は禪院甚爾です。
呪力がない代わりに常人離れした身体能力、スピード、頑丈さ、そして呪力を発しないため術師や呪霊から探知されないという特性を持っています。
これにより、多くの呪術師を葬ったことから「術師殺し」の異名があります。
幼少期に呪力がないことで禪院家から煙たがられた反動もあり、定職にもつかずギャンブルを好むなど、非常にルーズな性格。
しかし息子である恵のことは気にかけており、五条悟に恵を託す場面もありました。
この記事では、伏黒甚爾の術式・名言やエピソードについて詳しく解説していきます。
呪術廻戦アニメキャラ「伏黒甚爾」とは?

伏黒甚爾は、呪術界の常識を覆す異端な存在として描かれ、その圧倒的な身体能力と特異な出自から「術師殺し」の異名を持ちます。
甚爾は非常にルーズで、享楽的な性格として描かれている人物です。
定職に就かず、ギャンブルに明け暮れるなど、どこか退廃的な雰囲気を漂わせています。
幼少期に呪力がないことで禪院家から冷遇された経験が、彼のそのような性格形成に影響を与えているのかもしれません。
しかし、一方で彼は息子である伏黒恵のことを深く気にかけていました。
過去に五条悟と死闘を繰り広げた際、瀕死の状態で五条に恵の将来を託すという、意外な父親としての顔を見せたことも。
そんな甚爾は主に「過去編(懐玉・玉折)」で登場し、五条と夏油傑という最強の二人を追い詰めた最大の敵として描かれました。
彼の存在は、五条が「最強」へと覚醒するきっかけとなり、夏油傑の「呪術師は非術師を守るべき」という思想が揺らぐ一因ともなっています。
また、物語開始時点では故人ですが、「渋谷事変」においては、降霊術によって一時的に復活。その規格外の強さで再び多くの術師を圧倒し、その存在感を強烈に印象付けました。

得体の知れない人物だったよね


伏黒甚爾のプロフィール・特徴
項目 | 詳細 |
---|---|
名前 | 伏黒甚爾(ふしぐろとうじ) |
年齢 | 不明 |
身長 | 188cm |
嗜好・興味 | ギャンブル |
声優 | 子安武人 |
天与呪縛 | フィジカルギフテッド |
伏黒甚爾の目的
伏黒甚爾の主な目的は、金銭を得ることです。
彼は定職に就かず、ギャンブルを好むなど金に困っている様子が描かれており、作中で受けた任務も多額の報酬が絡んでいました。
特に、作中で重要な役割を果たす「星漿体・天内理子」の暗殺任務においては、高額な懸賞金が目的であることが明確にされました。
彼は高額な報酬を得るために、五条や夏油といった実力者をも相手にすることを選んでいます。
また彼の行動の背景には、呪術界、特に禪院家という自身の出自に対するある種の反抗心や復讐心があったとも解釈できます。
呪力を持たないことで冷遇されてきた過去から、呪術界の象徴ともいえる存在を打ち壊したいという感情が、金銭目的の任務を引き受ける動機にもなった可能性があります。
ただし、最終的には息子である伏黒恵の将来を五条に託すという行動を見せており、完全に利己的な目的だけで動いていたわけではないことも示唆されています。
伏黒甚爾の妻について
伏黒甚爾の妻は、作中でその存在が語られるものの名前や容姿、詳細な経歴は一切明かされていません。
彼女は恵の母親であり、甚爾が過去に結婚していたことを示す唯一の手がかりとなります。
妻の存在が最も明確に示されるのは、甚爾が恵を禪院家に売却しようとしていた事実や五条との会話の中です。
甚爾自身が恵の母親について具体的に語る場面はほとんどありません。
しかし、彼が恵に対して見せるある種の関心や行動の背景には、恵の母親との関係があったことが示唆されます。
さらに甚爾が息子である恵を五条悟に託す場面は、彼の妻との関係を推し量る上で重要な手がかりとなります。
通常、極めて利己的に行動する甚爾がなぜ自分の命を顧みず、そして何よりも金銭的な目的を超えて、恵の将来を他者に託したのでしょうか。
そこには、恵の母親との間に築き上げた絆や、恵自身への愛情が少なからず存在したと考えることもできます。
このように、甚爾の妻は物語において「伏黒恵の母親」という事実以外に具体的な情報がほとんどない、謎に包まれた人物です。
しかし、その存在は甚爾の行動や伏黒恵のルーツを考える上で、重要な要素となっています。

呪力がないなんてびっくり


伏黒甚爾の来歴

伏黒甚爾は、その特異な出自と圧倒的な強さで物語に大きな影響を与えています。
甚爾は、呪術界の御三家の一つである禪院家に生まれました。
しかし、彼は呪力を全く持たないという、呪術師にとって致命的な「天与呪縛」の体質を持っています。
これは、呪力を完全に手放す代わりに人間離れした身体能力を獲得するという、極めて稀なケースです。
禪院家での待遇に耐えかねた甚爾は、家を出て禪院姓を捨て「伏黒」姓を名乗るようになります。
しかし、甚爾は定職に就かず、ギャンブルに明け暮れるなど、相変わらず金に困った生活を送っていました。
この時期に、彼は自身の規格外の身体能力と呪力探知にかからない特性を活かし、「術師殺し」として暗躍するようになります。
彼の標的は、懸賞金をかけられた呪術師や呪霊、あるいは護衛対象でした。
甚爾の来歴において最も重要なターニングポイントとなるのが、2006年の「星漿体(せいしょうたい)・天内理子護衛任務」です。
この時、甚爾は「盤星教」という呪術と関連の深い宗教団体から、天内理子の暗殺を依頼されます。
星漿体は天元と同化することで世界の均衡を保つ重要な存在であり、その暗殺は呪術界全体を揺るがす大事件でした。
この任務で、甚爾は護衛役である当時高専生だった五条と夏油と激突します。
彼はその卓越した戦闘スキル、呪具の巧みな使用、そして呪力探知を掻い潜る特性を最大限に活用し、一度は五条を圧倒し、天内理子の暗殺に成功します。
しかし、再戦で五条の覚醒した力によって、甚爾は致命的なダメージを受け敗北しました。
初登場は「TVアニメ2期の第1話」※漫画では8巻の第65話
TVアニメは、第25話「懐玉」 (シーズン2の第1話)、原作漫画は第65話「懐玉二」 (単行本8巻に収録)となっています。
物語の舞台は2006年の春、呪術高専時代の五条(当時16歳)と夏油(当時17歳)です。
二人は最強の呪術師として高専で名を馳せており、日常的に呪霊を祓う任務に当たっていました。
原作漫画の第65話「懐玉二」での甚爾の初登場シーンは、五条と夏油が天内理子を護衛する中で、ホテルの一室に侵入した際に、天内理子を狙う呪詛師の一人として登場します。
具体的には、五条と夏油がホテルにいる天内理子の元へ向かい、部屋のドアを開けた際に、すでに部屋の中に甚爾が待ち構えている、という形での登場です。
この時、甚爾は特にセリフもなく、ただそこにいるだけで不穏な空気を漂わせ、五条と夏油に警戒心を抱かせます。
伏黒甚爾の強さ
伏黒甚爾は、『呪術廻戦』の世界において、その常識を覆す異色の強さで読者に強烈なインパクトを与えました。
彼は呪術師でありながら呪力を持たないという致命的なハンディキャップを背負っているにもかかわらず、作中トップクラスの実力者である五条をも一時的に退け、「術師殺し」の異名で恐れられるほどです。
ここでは、その強さについて解説します。
甚爾の強さの根源は、彼に施された稀有な「天与呪縛」にあります。
これは、生まれつき呪力を一切持たない代わりに、人間離れしたフィジカル能力を獲得するというものです。
甚爾は、呪力を持たないことで、五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)が常人よりもはるかに研ぎ澄まされています。
これにより、呪力によって気配を隠した相手でも正確に察知し、対応することができます。
また、驚異的なスピード、瞬発力、そして呪力を底上げした呪術師すら凌駕するほどの身体能力を誇ります。
並大抵の攻撃ではびくともしない頑強な肉体を持ち、致命傷を受けても戦い続ける驚異的な回復力と耐久性を持ちます。
これは彼の「フィジカルギフテッド」の恩恵であり、呪力を一切持たないがゆえの究極の肉体と言えるのです。
呪力がないため、呪力によって相手の存在を探知する術師や呪霊にとって、甚爾は「存在しないもの」として認識されます。
これにより、彼は敵に気づかれることなく接近し、不意打ちを仕掛けることが可能であり、これが彼の「術師殺し」としての最大の武器となります。
さらに甚爾の強さは、その身体能力や戦術だけでなく、彼の精神性にも起因します。
任務のためなら躊躇なく相手を殺める冷酷さを持っており、その合理的な思考と非情さは感情に流されがちな相手にとって非常に厄介なものです。
また、圧倒的な実力と経験からくる自信は、彼をどんな強敵の前でも臆することなく立ち向かわせ、命の危険に瀕しても冷静さを失わず、戦況を打開しようとします。
甚爾の強さは、天与呪縛によって得た究極の肉体、それを最大限に活かすための知略と呪具の運用、そして揺るぎない精神性が組み合わさることで成り立っています。
彼は呪力を持たないという呪術師にとっての「弱点」を、逆に「最強の武器」に変えた、稀代の異能者なのです。
渋谷事変での行動
伏黒甚爾は、2018年に起きた「渋谷事変」において、その規格外の強さで戦場に現れ、読者に強烈な印象を残しました。
彼の渋谷事変での行動は、自身の意思を超えた肉体の暴走と息子への最後の選択という、複雑な様相を呈しています。
渋谷事変の混乱の中、呪術師の一人であるオガミ婆が、甚爾の孫を使って「降霊術」を行使し、甚爾の肉体を呼び起こしました。
この降霊術は、対象者の肉体に術師の魂を降ろして操る術式でした。
しかし、甚爾の肉体は並外れたフィジカルギフテッドであるため、オガミの孫の魂を拒絶し、甚爾自身の肉体機能だけが暴走するという予期せぬ事態が起こります。
肉体を支配しようとしていたオガミの孫の魂は甚爾の肉体に食い潰され、結果として甚爾は自我を持たない「肉の器」として渋谷の戦場を彷徨い始めます。
その行動は無目的で、目の前に現れる術師や呪霊を無差別に排除するという、純粋な戦闘マシーンのような状態でした。
自我なき甚爾は、その天与呪縛による超人的な身体能力を遺憾なく発揮し、渋谷の戦況をさらに混沌へと陥れます。
まず、甚爾は渋谷の地下に展開された陀艮の領域内で、伏黒恵、禪院真希、七海建人、猪野琢真らと遭遇。
彼は、領域内で繰り広げられる彼らの死闘に割り込み、その圧倒的な身体能力で特級呪霊陀艮を文字通り完膚なきまでに叩き潰します。
陀艮の領域展開すら無力化し、彼が呪力を持たずとも特級呪霊に匹敵、あるいはそれ以上の戦闘力を持つことを証明しました。
彼の暴走は、敵味方の区別なくその場にいる全ての者を圧倒し、渋谷事変の混乱を一層加速させます。
陀艮戦では、禪院真希が持っていた呪具「游雲」を瞬時に奪い取り、それを使いこなすことで、彼の戦闘センスが肉体に刻み込まれていると示した甚爾。
彼の暴走は、敵味方の区別なくその場にいる全ての者を圧倒し、渋谷事変の混乱を一層加速させました。
渋谷事変における甚爾の登場は、彼の強さを再確認させる重要なエピソードとして描かれています。

まさか恵の実父だったなんて・・・


伏黒甚爾の術式・能力

ここでは伏黒甚爾の術式・能力を解説していきます。
天与呪縛:呪力ゼロの究極の肉体
甚爾の能力の核となるのは、彼に課された極めて稀な「天与呪縛」です。
これは生まれつき呪力を完全に持たない代わりに、肉体の性能が極限まで引き上げられた状態を指します。
・驚異的なスピードとパワー
呪力で身体能力を底上げした呪術師を凌駕するほどの速度と筋力を持ち、並大抵の攻撃では追いつけず一撃で相手を戦闘不能に追い込むことも可能。
・比類なきタフネスと頑丈さ
肉体が非常に頑丈で、並の攻撃ではダメージを受け付けず、致命的な傷を負っても活動を継続できるほどの耐久力と回復力(※反転術式ではない)を持ち合わせている。
・呪力探知の無効化
彼の肉体から呪力が一切発せられないため、呪力によって相手の存在を探知する呪術師や呪霊にとって、甚爾は「存在しないもの」として認識される。
そのため彼は敵の警戒網をすり抜け、完璧な奇襲を仕掛けることが可能で、これが「術師殺し」としての最大の武器であり、五条ですら敗北した。
「呪霊操術」擬きの呪霊
彼は常に芋虫のような形をした呪霊を携帯しており、その体内に無数の呪具や武器を格納しています。
この呪霊は彼の命令で自在に呪具を出し入れすることができ、あたかも「呪霊操術」を使っているかのように見せかけることが可能です。
これにより、必要な呪具を瞬時に取り出し、相手の意表を突くことができます。
特級呪具の使い手
彼の代表的な呪具には、術式を強制解除する能力を持つ「天逆鉾」や、魂を直接攻撃し、呪霊の体を強制的に引き剥がす「釈魂刀」などがあります。
これらの呪具は、呪術師にとって非常に厄介な特性を持ち、甚爾の身体能力と組み合わせることで絶大な威力を発揮します。
また、「游雲」という、呪力が込められていないただの三節棍も愛用していました。
これは、甚爾の身体能力によって初めて真価を発揮する呪具であり、彼の純粋な身体能力の高さを象徴しています。
卓越した戦術眼と状況判断能力
甚爾は単なる肉体派ではありません。相手の術式や特性を瞬時に分析し、それに対する最適な攻略法や戦術を導き出す非常に高い頭脳を持っています。
五条の「無下限呪術」を打ち破るために、彼がどう動くかを予測し、適切なタイミングで「天逆鉾」を繰り出すなど、その知略も彼の強さの重要な一部です。
甚爾の強さは術式や呪力といった呪術師の根幹を成す要素を完全に欠きながらも、その究極的な肉体能力と、それを最大限に活かすための狡猾な戦略、そして強力な呪具の組み合わせで確立されています。
呪術界の常識を覆す「異能」の持ち主であり、その存在自体が「呪術」という概念に対するアンチテーゼとも言えるでしょう。
彼が「最強」と評される五条を一度打ち破った事実は、彼の強さが真に別格であることを証明しています。

五条悟が負けるとは思わなかった


伏黒甚爾の印象深い名言・エピソード

伏黒甚爾は、その圧倒的な力と複雑な背景、そして物語に与える影響力は絶大です。
いい加減に見えて、実は息子を思いやる人間的な一面も持ち合わせています。
そんな甚爾のセリフやエピソードをいくつか紹介します。
- これで賞金に釣られるのが、バカからまともなバカになる
- あいつが近くにいる限り、”星漿体”はまず殺せない
- ババァ 誰に命令してんだよ
- 気にすんな、俺も苦手だ、男の名前、覚えんのは
- 五条悟は、俺が殺した
- 人間が残す痕跡は残穢だけじゃねえ
- 術師なら死なねえ程度に斬った、式神使いなら殺したが呪霊操術となるとな
- その恵まれたお前らが、呪術も使えねえ俺みたいな猿に負けたってこと…長生きしたきゃ忘れんな
- ああ、恵って…そうだったそうだった、俺が名付けたんだった
- 否定したくなった、ねじ伏せてみたくなった、俺を否定した禪院家、呪術界、その頂点を
- 自分も他人も尊ぶことない、そういう生き方を選んだんだろうが
- 2~3年もしたら、俺のガキが禪院家に売られる、好きにしろ
- お前…名前は?伏黒? 禪院じゃねえのか…よかったな
自分を否定してきた者をずっと拒絶してきたものの、最期は自分を否定していました。
戦いとなると一切の容赦をせず、完膚なきまでに叩きのめす姿は恐ろしさを感じさせるほどです。

意外と人間臭いところもあったりして


伏黒甚爾と息子・恵についての考察

伏黒甚爾と息子の恵の関係性を紐解く鍵は、「禅院家」という背景と、「呪力」という物語の根幹をなす要素、そして何よりも二人の間に存在した「欠落」と「愛」にあります。
甚爾は、呪術師の御三家の一つである禅院家に生まれながら、呪力を持っていませんでした。
呪術師の世界で「呪力を持たない」ということは、存在価値を否定されるに等しいものです。
そのため、彼は幼い頃から虐げられ、禪院家を嫌悪するようになりました。
一方、恵は禅院家相伝の術式である「十種影法術」の才能を持って生まれます。
その結果、皮肉なことに甚爾が捨てたはずの禅院家が、恵の術式を欲しがったのです。
甚爾は、この状況を利用して禅院家を出し抜き、恵を売り飛ばす代わりに多額の金を受け取っています。
これは一見、恵を金銭目的で手放した非情な行為に見えますが、後にその真意が明らかになります。
甚爾は、自分を苦しめた「呪力」という価値観に縛られることを最も嫌いました。
彼が禅院家を離れたのも、その呪縛から逃れるためでした。
彼にとって、呪術師の価値観は歪んだものであり、呪力がない自分は呪術師を殺すことでしか存在意義を示せませんでした。
そして、息子である恵に対しても、呪術師の世界で生きていくことを望んでいなかったと推測されます。
恵を禪院家に売るのではなく五条に預けたのも、五条が甚爾と同じく禅院家という枠組みに囚われていないことを知っていたからでしょう。
五条に「好きに育ててくれ」と頼んだのは、「呪術師としての才能があるからといって呪術師として生きる必要はない」という、息子への最後のメッセージだったのかもしれません。
甚爾は、恵が呪術師として生きるかどうかの選択を本人に委ね、彼が呪術師の世界から解放されることを願っていたのではないでしょうか。
甚爾は、表面的には恵に対して無関心に見えました。
しかし、彼の行動の端々に、息子への深い愛情と、父親としての後悔が垣間見えます。
例えば、生前の甚爾が五条に恵を託す際、「俺の息子は禪院家を継ぐに足る才能がある」と誇らしげに語っていたこと。
これは、息子を愛おしく思う父親の気持ちが表れています。
そして、渋谷事変で受肉した際に、恵を前にしても「俺の息子は誰だ」と問い、恵が「伏黒恵」と名乗ったことで、彼は「よかった」と言って自刃しました。
これは、父親として最後に恵の存在を認識できたことへの安堵であり、恵が禪院家の名前ではなく、自分が与えた「伏黒」という名前で生きていることを知った喜びでもあったのでしょう。
甚爾にとって、自分が禪院家の名前を捨てたように、息子もまたその呪縛から解放されていたことが、何よりも嬉しかったのだと考えられます。
最後の自刃は、息子を手にかけたくないという父親としての本能的な選択であり、後悔の念からくる行動だったのではないでしょうか。
甚爾と恵の関係は、単なる親子関係にとどまらず、『呪術廻戦』という物語の根幹をなすテーマに深く関わっています。
禪院家という血の呪縛から逃れようとした甚爾、そしてその血を受け継ぎながらも、自分の意思で生きることを選んだ恵。
二人の生き方は、呪術師の宿命や血統主義へのアンチテーゼとなったのです。
そんな甚爾と恵の関係は、すれ違いと欠落に満ちています。
しかし、甚爾が最後に恵の名前を知った瞬間に見せた安堵の表情は、父から子へ、言葉にされなかった愛が確かに存在したことを示しています。
甚爾の行動は、一見すると利己的で非情に見えますが、その根底には息子を「呪力」という不確かな価値観から解放し、自由に生きてほしいという、父親としての深い願いがあったのではないでしょうか。
二人の関係は、物語に深みを与え、読者に「本当に大切なものは何か」という問いを投げかけています。

いい父親だったんだね


伏黒甚爾に関するよくある疑問・共感ポイント

伏黒甚爾と禪院家
伏黒甚爾の半生は、禪院家という強固な呪術師の血統主義と、それに抗い続けた個人の戦いの物語と言えるでしょう。
甚爾は、呪術師御三家の一つである禪院家に生まれました。
しかし、彼は呪術師にとって最も重要な要素である「呪力」を全く持たずに生まれてきます。
これは、呪術師の世界では致命的な欠陥とみなされます。
甚爾は、禪院家相伝の術式「十種影法術」を持つ恵とは対照的に、呪力を持つことのできない「落ちこぼれ」として、幼い頃から家の中で激しい差別と虐待を受けました。
彼にとって禪院家は、自身の存在を否定する場所でしかなかったのです。
その結果、この家を憎み禪院家の価値観そのものを呪うようになります。
後に「禪院甚爾」という名を捨て、伏黒という姓を名乗ったのは、家との決別を意味しています。
甚爾が禪院家を憎んでいた一方で、彼の息子である恵は、禪院家相伝の術式である「十種影法術」の才能を持って生まれます。
これは、甚爾にとって皮肉な運命でした。
禪院家は、その術式を継ぐ者として恵を欲しがります。
甚爾は禪院家が恵の才能を欲しがっていることを知り、恵を禪院家に売るという取引を成立させます。
しかし、その真の目的は、禪院家を出し抜くことでした。
彼は禪院家に恵を売るのではなく、五条悟に預けるという選択をしました。
これは、禪院家への最後の「嫌がらせ」であり、同時に息子を呪術師の血統という呪縛から解放したいという、父親としての願いだったと解釈できます。
甚爾は、五条が禪院家という枠組みに囚われていないことを知っており、恵が自分の人生を自由に選択できるよう五条に託したのです。
甚爾が渋谷事変で受肉し、恵を前にした際に「伏黒」という姓を名乗る息子を見て安堵し自刃したことは、彼が禪院家という呪縛から完全に解放されたことを象徴しています。
彼の死後、禪院家は恵の存在を再び利用しようと画策しますが、恵は自身の力でそれを退けます。
最終的に禪院家は、甚爾の娘である真希によって壊滅させられました。
甚爾が一人で抗い続けた禪院家という巨大な存在は、彼の子どもたちによって終わりを迎えたのです。
伏黒甚爾の最期と「よかった」という言葉
甚爾は、生前に肉体を「天与呪縛」によって極限まで鍛え上げ、呪力を持たない代わりに人並み外れた身体能力を手に入れました。
彼の遺体は、術式「降霊」を持つ呪術師・オガミによって媒体にされました。
本来ならば術者の呪力によって生前の力が制限されるはずでしたが、甚爾の肉体は呪力が全くなかったため、術者の制御を上回り完全に復活してしまいます。
しかし、復活した甚爾には理性がなく、ただただ「目の前の強いもの」を求めるだけの殺戮マシーンと化していました。
彼は渋谷の街で数々の呪術師や呪霊を圧倒し、その規格外の強さを再び見せつけます。
最期の瞬間は、彼の息子である恵と対峙した時に訪れます。
甚爾は激戦の末に重傷を負った恵を見つけますが、彼の顔を見ても、すぐに自分の息子だと認識できませんでした。
ただ、彼の本能的な部分が、恵に対して特別な感情を抱いていることを示唆します。
甚爾は恵に「俺の息子は誰だ」と問いかけます。
この問いかけは、甚爾にとって非常に重要な意味を持っていました。
彼は、自身の人生を苦しめた「禪院」という姓と、それに付随する呪縛から逃れるために、家を出て「伏黒」の姓を名乗りました。
もし恵が「禪院」と名乗っていたなら、甚爾は自分の人生と同じく、息子もまたその呪いに囚われたと失望したかもしれません。
しかし、恵は「伏黒恵」と名乗ります。
恵の返答を聞いた甚爾は、一瞬の静寂の後、まるで心から安堵したかのように「よかった」と呟きます。
そして、次の瞬間、彼は自身の頭を呪具で突き刺し、自らの命を絶ちました。
この「よかった」という一言と自刃には、彼の複雑な思いが凝縮されています。
恵が禪院の名を名乗らなかったことで、甚爾は息子が自分の歩んだ道、つまり禪院家という呪縛から解放されていることを知ります。
これは、父親として息子に与えられた唯一の「遺産」が、確かに息子の中に息づいていることへの喜びでした。
生前、恵に対して無関心であるかのように振る舞っていた甚爾。
しかし、彼の行動の裏には、息子を呪術師の世界から守りたいという深い愛情がありました。
最期の瞬間、理性を失った状態であっても、息子を手にかけたくないという父親としての本能が彼を動かしたのです。
甚爾は、自分の存在を証明するために呪術師を殺し続けました。
しかし、息子を目の前にして殺戮の連鎖を終わらせ、父親として息子を傷つけずに済んだことに、彼は自己の人生の決着をつけたのでしょう。
伏黒甚爾を演じた声優は?
伏黒甚爾を演じたのは、子安武人さんです。
プロフィール
生年月日: 1967年5月5日
出身地: 神奈川県横浜市
血液型: A型
身長:176cm
事務所:ティーズファクトリー(代表取締役)
家族:子安光樹(長男)
代表作
- 楽しいムーミン一家(スナフキン)
- 頭文字D(高橋涼介)
- ボボボーボ・ボーボボ(ボーボボ)
- 魔人探偵脳噛ネウロ(脳噛ネウロ)
- ジョジョの奇妙な冒険(ディオ・ブランドー / DIO)
- ケロロ軍曹(クルル曹長 / クルルドラゴン)
- パタリロ西遊記!(盤古羅漢〈バンコラン〉)
- 銀魂(高杉晋助)
- Re:ゼロから始める異世界生活(ロズワール)
- 進撃の巨人(獣の巨人 / ジーク
- 鬼滅の刃(手鬼)
- 探偵はもう、死んでいる。(カメレオン)
- BLEACH 千年血戦篇(ペッシェ・ガティーシェ)
- 文豪ストレイドッグス(ニコライ・G)
- 葬送のフリーレン(クラフト)
- ザ・ファブル(鈴木ヒロシ)
- マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編(マーガレット・マカロン)
- 俺は星間国家の悪徳領主!(案内人) ほか
子安武人さんはクールでセクシーな悪役やラスボスからコミカルで掴みどころのないキャラクター、真面目で人間味のある役柄まで多岐にわたるキャラクターを演じ分けられると評されるベテラン声優です。
デビュー以来、数多くの人気アニメ作品に出演し、常に第一線で活躍し続け、特にガンダムシリーズには多数の出演経験があり、多くのファンに支持されています。

最後は自刃だったんだね


まとめ

今回は伏黒甚爾について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
彼の人生は、呪術師社会の血統主義や価値観に抗い続けるものでした。
禪院家を嫌悪し、「術師殺し」として生きた彼の行動は、一見すると利己的で冷酷に見えます。
しかし、息子である恵に対しては、呪術師の呪縛から解放されて自由に生きてほしいという、深い愛情と後悔も描かれていました。
甚爾は単なる悪役ではなく、呪術師社会の闇を象徴し、物語に深みを与えた重要なキャラクターと言えるでしょう。