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夏油傑は、『呪術廻戦』に登場する重要キャラクターであり、物語の中でも特に複雑な背景を持つ人物です。
呪術界の構造や五条悟の人間性を照らす鏡のような存在でもあります。
そして五条悟と対をなす立場となり、物語全体の大きな軸として描かれました。
作中では、非術師の無知と残酷さに失望し、「呪術師だけの世界を作る」という思想に傾倒。
やがて非術師を「猿」と呼び、呪術界に反旗を翻す呪詛師となっていきます。
この記事では、夏油傑の術式・名言やエピソードについて詳しく解説します。
呪術廻戦アニメキャラ「夏油傑」とは?

夏油傑はただの敵キャラではなく、物語全体を深く揺さぶる「もう一人の主役」とも言える存在です。
元々は呪術高専の生徒で、五条悟と並ぶ最強クラスの呪術師でしたが、ある出来事がきっかけで敵対勢力のリーダーとなり、物語に大きな影響を与えることになります。
非術師を排除し、術師だけの世界を作るという過激な思想を抱え、多くの呪霊を従えるカリスマ的存在に。
夏油の思想は決して「悪」ではなく、「歪んだ正義」でもあるとされ、誰よりも優しく純粋だったがゆえに壊れてしまったと言えます。


夏油傑のプロフィール・特徴
項目 | 詳細 |
---|---|
名前 | 夏油 傑(げとうすぐる) |
身長 | 187cmぐらい(184cmの七海より高く真人より少し高い) |
年齢 | 27歳 |
誕生日 | 2月3日 |
階級 | 特級呪術師 |
高専入学方法 | スカウト |
声優 | 櫻井孝宏 |
生得術式 | 呪霊操術 |
使用した主な呪霊 | 特級仮想怨霊「化身玉藻前」、虹龍、口裂け女、他 |
技 | 極ノ番「うずまき」 |

五条悟と親友だったのに…
夏油傑の目的
夏油傑の目的について解説していきます。
夏油の目的は「術師だけの世界を作ること」でした。
非術師(呪力を持たない一般人)を排除して、呪術師だけが生きる理想の世界を創るという思想を持っていたのです。
夏油は元々、非術師を守るために呪術師として活動していました。
しかし、呪霊を祓っても感謝されないどころか、差別や偏見の目にさらされる日々に疑問を抱きます。
特に、「星漿体(せいしょうたい)」をめぐる任務での苦い経験が、考え方を大きく変えるきっかけになりました。
次第に、「非術師こそが呪霊の原因であり、根本的な問題だ」と確信します。
その結果、「非術師を全て排除すれば、呪霊も生まれず、呪術師も苦しまずに済む」という過激な理想主義に傾倒。
自身の目的を達成するために、無数の呪霊を操って呪術師社会に対抗します。
他の呪詛師や呪霊(漏瑚や真人など)と手を組み、「百鬼夜行」など大規模なテロ計画を立案・実行しました。
これらの内容は劇場版呪術廻戦0で描かれ、呪術高専に宣戦布告し一般人を巻き込む大規模な襲撃を行っています。
しかし、夏油の目的はただの「悪」ではなく、世界を変えたいという理想に囚われた哀しい正義でもあります。


夏油傑の来歴

夏油は五条悟と共に呪術高専の生徒として活躍していた精鋭中の精鋭でした。
術式「呪霊操術」によって無数の呪霊を使役し、まさに最強の呪術師の一人と言われるほどの強さを誇っていました。
しかし星漿体での任務をきっかけに、非術師(呪力を持たない一般人)に対する嫌悪感と虚無感を抱くようになります。
結果、「非術師は排除すべき存在」とする極端な思想に傾倒し、ついには呪詛師となってしまった夏油。
『呪術廻戦 0』の時点で、すでに夏油は「呪術師だけの理想世界を作る」という思想のもと、敵組織のリーダーとして活動していました。
そして劇場版『呪術廻戦 0』で、夏油は命を落としました。
夏油の死は五条にとっても深い傷となり、呪術界の未来にも大きな影を落とす事件となっています。
しかし、『呪術廻戦』本編では、夏油の「肉体」が後に別の人物(羂索)に乗っ取られており、再び物語の中心として登場します。
※ネタバレ注意
TVアニメ第1期・第2期で登場する夏油は実は本物の夏油傑ではなく、夏油の肉体を乗っ取った「羂索(けんじゃく)」です。
本物の夏油の物語は、劇場版『呪術廻戦 0』や「懐玉・玉折編」(アニメ第2期)で明かされています。
初登場は「TVアニメ1期の第5話」※漫画では2巻の第10話
夏油のTVアニメの初登場は1期・第5話「呪胎戴天-弐-」です。
物語の裏で動く呪霊たちや呪詛師の姿が描かれ、夏油は漏瑚(じょうご)たちと共に暗躍する人物として登場しました。
まだ本格的な戦闘や目的は明かされませんが、敵組織のキーパーソンとしての存在感が強く描かれ始めます。
漫画では2巻・第10話「邂逅(かいこう)」です。
夏油は漏瑚と共に登場し、呪霊たちと「五条悟の封印計画」について話し合っています。
穏やかな口調ながら、非術師を「猿」と呼ぶなど、思想の異常さが垣間見える印象的な初登場シーンです。
渋谷事変での行動
夏油傑(羂索)は渋谷事変において、その黒幕として暗躍し、物語の展開に決定的な影響を与えています。
彼の行動は、事変全体の状況を支配下に置くためのものでした。
夏油の渋谷事変における最大の目的は、五条悟の封印です。
彼は、五条の存在が自身の理想とする「呪霊だけの世界」を実現する上で最大の障害となると認識していました。
渋谷を舞台に大規模な帳を展開し一般市民と呪術師を分断することで、五条を特定の場所に誘い込み封印しようと目論んだのです。
渋谷事変の開始と同時に、夏油は呪霊たちを指揮し状況を混乱させました。
彼は特に、獄門疆(ごくもんきょう)を用いた五条の封印に執着し、そのために複数の特級呪霊(漏瑚、花御、陀艮など)を巧みに操っています。
そして、五条と対峙し封印することに成功。
夏油は、渋谷に閉じ込められた一般人を「人質」として利用するだけでなく、彼らの負の感情を増幅させ、呪霊の発生源としました。
また、必要とあらば躊躇なく彼らを犠牲にし、自らの目的達成のために利用しています。
彼の冷徹な思想が如実に表れた行動と言えるでしょう。
五条を封印した後も、夏油は自身の計画を阻もうとする呪術師たち(特に七海建人、伏黒恵、釘崎野薔薇など)と、配下の呪霊を差し向けて交戦させています。
しかし夏油は自ら直接戦闘に加わることは少なく、常に一歩引いた位置から状況をコントロールしていました。
渋谷事変における夏油の行動は五条の封印、多数の呪術師や一般人の死、そして呪術界の構造そのものを大きく変える契機となりました。
彼の周到な計画と冷徹な実行は、まさに「呪術廻戦」という物語における最悪の事態を引き起こしたと言えます。
五条悟との関係は?
夏油傑と五条悟の関係は、『呪術廻戦』の物語において最も深く、複雑で、そして悲劇的な要素の一つです。
彼らはかつて高専時代の親友であり、互いに認め合う最高の仲間でした。
しかし、異なる理想と選択が彼らの道を分かち、最終的には呪術界を揺るがすほどの対立へと発展しました。
二人の関係が最も輝いていたのは、東京都立呪術高等専門学校の学生時代です。
この頃、彼らは「最強の二人」と称され、向かうところ敵なし。
そして周囲から浮きがちだった五条にとって、夏油は唯一無二の理解者であり、対等に接することができる存在でした。
五条の奔放さを夏油が諫め、夏油の合理性を五条が面白がるなど、互いの性格を補完し合っていたのです。
当初、二人は「呪術師が非術師を助ける」という大義を共有していました。
彼らは若き呪術師として呪霊を祓い、人々を救うことに何の疑問も抱くことはありませんでした。
そんな夏油と五条の関係に転機をもたらしたのは、「星漿体」の護衛任務の失敗です。
非術師による星漿体の殺害という現実に直面し、二人の間に認識のズレが生じ始めます。
五条は「最強」として覚醒し全てを一人でこなせるようになる一方で、夏油は非術師を守るという行為に疑問を抱くようになります。
決定的な決裂は、夏油が呪術高専を裏切り、一般人を虐殺し、呪詛師として独立したことです。
そして、新宿・京都で大規模な呪霊によるテロ「百鬼夜行」を引き起こします。
この時、五条は親友である夏油を止めようとしますが、彼を殺すことはできませんでした。
しかし、2人の親友関係は完全に終わりを告げることになりました。

親友だった頃は仲良しだったのに。


夏油傑の術式・能力

夏油傑の術式・能力を解説します。
呪霊操術(じゅれいそうじゅつ)
これは彼が持つ生得術式であり、その能力は非常に強力で多岐にわたります。
呪霊操術は、降伏させた呪霊を取り込み、自在に操る術式です。
夏油は、掌をかざして呪霊を球体に変化させ、それを飲み込むことで取り込みます。
取り込む際の呪霊の味は、「吐瀉物を処理した雑巾のような味」と表現されており、かなりのストレス源となっていました。
夏油が取り込める呪霊の数に上限はありません。
これにより、夏油は圧倒的な物量で相手を制圧することが可能でした。
公式ファンブックによると、彼は4000体以上の呪霊を保有していたとされています。
また、その呪霊が本来持つ呪力や術式を行使できます。
夏油自身の呪力ではなく取り込んだ呪霊自身の呪力で戦うため、自身の呪力消費を抑えながら多種多様な攻撃を繰り出せます。
しかも、自身と呪霊の等級が二段階以上離れていれば降伏させるプロセスを省き、無条件で取り込むことが可能です。
呪霊操術の主な技・能力
呪霊操術の主な技・能力は以下の通りです。
- 呪霊放出と指揮
取り込んだ呪霊を自由に呼び出し、敵に攻撃させたり、防御に使ったり、偵察させたりと状況に応じて使い分けます。
それぞれの呪霊の特性を理解し、的確に指示を出すことで戦術の幅が広がります。
- 特級仮想怨霊「化身玉藻前(けしんたまものまえ)」
夏油が保有していた特級呪霊の一つで、非常に強力な存在です。
- 紅龍(こうりゅう)
アニメでも登場した呪霊で、遠距離からの攻撃に用いられます。
- 極ノ番「うずまき」
呪霊操術の奥義で、絶大な威力を誇る一撃を放ちます。
取り込んだ多数の呪霊を一つにまとめ、超高密度の呪力として放出する技で、保有する呪霊の全てをまとめて放つことも、一部をまとめて連発することもできます。
準一級以上の呪霊を「うずまき」の素材とした場合、その呪霊が持つ生得術式を夏油自身が習得し、使用できるようになるという効果も持ちます。
これは非常に強力な側面であり、彼が様々な術式を扱える可能性を秘めていたことを示唆しています。
ただし、この技を使うとせっかく集めた呪霊を消費することになるため、呪霊操術の最大の強みである手数の多さを一時的に失うことになります。
夏油の肉体を乗っ取った羂索の術式・能力
夏油傑の肉体を乗っ取った羂索は、夏油の生得術式である「呪霊操術」を自身の術式として使用しています。
また、羂索は自身の本来の術式である肉体を乗っ取る術式に加え、過去に乗っ取った肉体(加茂憲倫や虎杖香織など)が持っていた術式も使用可能です。
- 肉体乗っ取りの術式
脳を入れ替えることで死者の肉体を乗っ取り、その肉体に刻まれていた生得術式や記憶も使用可能で、額の縫い目が特徴です。
- 反重力機構(アンチグラビティシステム)
羂索が虎杖香織の肉体で得た術式で、重力を打ち消す能力です。
夏油傑の「呪霊操術」は、その汎用性と物量による圧倒的な戦力で、彼を特級呪術師たらしめる根幹の能力でした。
そして、その力を最大限に引き出す夏油自身の高い戦術眼と、肉弾戦能力も相まって、彼は非常に危険な存在となったのです。

本当に強くて怖いぐらいだったよね


夏油傑の印象深い名言・エピソード

呪詛師になってからの夏油傑は残忍なやり方をするようになり、常に淡々とした口調なのが逆にゾっとさせます。
そんな夏油の高専時代や呪詛師になってからのセリフやエピソードを紹介します。
- 私達は最強なんだ
- そうか 死ね
- 私に従え 猿共
- 猿め・・・
- 勝ち方が決まってる奴は勝ち筋を作ると簡単にノってくる
- この世界では私は心の底から笑えなかった
- 思う存分 呪い合おうじゃないか
- 呪術は非術師を守るためにある
- 意味はある 意義もね 大義ですらある
- 私の望む世界が 今 目の前にある!
- 皆さん一旦外に出ましょうか
セリフからも、五条と敵対する形になってでも自身の理想を貫き通そうとした夏油と、高専時代の穏やかな夏油の差がはっきり分かると思います。

味方だったら心強い人だよね


夏油傑が呪詛師になったのはなぜ?

夏油傑は、かつて五条悟と並び称されるほどの実力を持つ、若き特級呪術師でした。
高専時代は、「弱者を守る」という強い理想を抱き、非術師を呪霊から守ることに使命感を感じていたほどです。
しかし、その理想は過酷な任務と非情な現実によって徐々に蝕まれていきます。
夏油が呪詛師へと転落する最大の要因は、彼が抱いていた「非術師を守る」という理想と、現実の非術師たちの在り方が違ったからです。
特に彼に決定的な影響を与えたのは、以下の出来事だと考えられます。
・星漿体である天内理子護衛任務の失敗と理子の死
呪術界の根幹を揺るがす重要な任務であり、天内理子を全力で守ろうとした夏油。
しかし、結果として理子は殺され、その死に際して周囲の非術師が冷酷な反応を示したことは、彼の心に深い傷を残しました。
この時、彼は非術師が守るに値する存在なのかという疑念を抱き始めます。
・「考える猿」としての非術師
護衛任務後、夏油は非術師から発せられる負の感情を強く認識するようになっていきました。
その結果、彼は非術師を「猿」と蔑むようになります。
彼らが呪術師の犠牲の上に平穏な生活を送っているにもかかわらず、その存在を理解せず時に呪術師を迫害することに憤りを感じていたのです。
夏油は呪術師として、常に呪霊と戦い、非術師のために犠牲を払う立場にありました。
しかし、その努力が非術師に理解されず、むしろ偏見や恐れの対象となる現実に直面し、精神的に追い詰められていきました。
呪霊との戦いは終わりがなく、呪術師は常に命の危険に晒されます。
夏油もまた、多くの任務をこなし、心身ともに疲弊していきました。
さらに、任務中に仲間の呪術師が命を落とすことも珍しくなく、そうした経験もまた彼の心を蝕んでいく要因となります。
彼は当初、その考えに殉じようとしましたが、非術師の醜悪な側面を目の当たりにするにつれ、彼らを守る意味を見出せなくなってしまいます。
こういったことが積み重なり、夏油は「非術師を皆殺しにすれば、呪霊が発生しない世界になる」という極端な結論に至ります。
彼にとって、これは呪術師が呪いから解放され、真の理想郷を築くための唯一の道でした。
彼は自らの手で世界を「浄化」し、呪術師が安心して暮らせる世界を創造することを選んだのです。
夏油の思想の変化は、親友である五条悟との間に大きな溝を生みました。
五条は夏油の考えを理解しようとしながらも、彼の過激な行動を止めることはできませんでした。
最終的に二人は袂を分かち、夏油は呪術界を離れ、呪詛師として暗躍する道を行くことに。
夏油傑が呪詛師になったのは、彼の抱いた崇高な理想が現実によって打ち砕かれ、その絶望の中から独自の「救済」を見出した結果と言えるでしょう。
彼の行動は決して許されるものではありませんが、その背景には、呪術師という特殊な立場に置かれた者の深い苦悩と悲劇が存在しています。


夏油傑に関するよくある疑問・共感ポイント

闇落ちした?
夏油傑が呪詛師となった経緯は、一般的に「闇落ち」と表現されることが多いものの、彼の行動や思想を深く掘り下げると、単なる悪への転落ではない、より複雑な背景が見えてきます。
彼の場合、「理想への絶望」と「新たな信念の構築」が重なり合った結果であり、その過程は非常に人間的で悲劇的です。
夏油が闇落ちしたと評されるのは、彼の行動が多数の非術師を殺害するという結果に至ったためとされています。
しかし、その過程には彼の深い苦悩と葛藤がありました。
その過程とは以下の通りです。
・「星漿体」天内理子護衛任務の失敗と非術師への不信感
・終わりのない呪いとの戦いと精神的疲弊
・非術師への蔑視「猿」
夏油は、非術師によって呪いが生み出されるという構造そのものを根絶することこそが、呪術師が呪いから解放され、真の理想郷を築くための唯一の道だと確信します。
彼にとっての「非術師皆殺し」は、私欲によるものではなく、「呪術師を呪いから解放する」という彼なりの「救済」でした。
これは、かつての理想が形を変え、極端な形で昇華された結果と言えます。
夏油傑を演じた声優は?
夏油傑を演じたのは、櫻井孝宏さんです。
【プロフィール】
生年月日: 1974年6月13日
出身地: 愛知県岡崎市
血液型: A型
身長: 176cm
【代表作】
コードギアス 反逆のルルーシュ (枢木スザク役)・ダイヤのA (御幸一也)・化物語 (忍野メメ)・おそ松さん (松野おそ松役)・鬼滅の刃 (冨岡義勇役)・ブルーロック (糸師冴役)・ハイキュー!! (月島明光)・転生したらスライムだった件(ディアブロ)・七つの大罪(グリアモール)・食戟のソーマ (一色慧)ほか
櫻井孝宏さんは、独特な雰囲気を持つキャラクターの表現力や、コミカルな役からシリアスな役までこなす器用さなどが高い評価を得ています。
最後の言葉
夏油傑の最期は、『呪術廻戦』の物語において、読者に強い印象を残すシーンの一つです。
彼の最期の言葉は、単なる断末魔ではなく、彼の人生、思想、そして親友・五条との関係性を凝縮した、非常に示唆に富むものでした。
劇場版『呪術廻戦 0』、原作漫画の「呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校」において、夏油傑は乙骨憂太との戦いで重傷を負い、親友である五条が看取る形となっています。
この時の彼の最期の言葉は、以下のやり取りの中にありました。
五条「何か言い残すことあるか?」
夏油「別にない」
五条「傑、お前はさ、どんな世界が欲しかった?」
この五条の問いかけに対し、夏油は明確な言葉を返しません。
しかし、彼の口元には微かな笑みが浮かんでいました。
そして、五条が夏油に最後のとどめを刺す直前、夏油は「せめて…呪ってくれ」という言葉を心の中で呟きます。
この独白は劇場版『呪術廻戦 0』にはなく、原作のみ描かれました。
夏油の最期の言葉、そしてその沈黙と微かな笑みは、彼の複雑な心境を物語っています。
そして「別にない」という言葉は、一見するとあっさりとした諦めや無関心にも見えます。
しかし、夏油にとっては、自身の理想とする世界を追い求め、そのために必要なことはすべてやり尽くした、という一種の満足感が含まれていたと解釈できます。
彼は、自分の信念に基づいて行動し、その結果を受け入れる覚悟があったのでしょう。
だからこそ、今さら言葉で何かを付け加える必要はないと感じたと考えられます。
また、五条との長年の関係の中で、彼らが互いの全てを理解し合っていたからこそ、言葉は不要だったようにも見えます。
五条が問いかける「どんな世界が欲しかった?」という問いは、夏油の根底にある理想を最も理解している五条だからこそ問えたものです。
夏油もまた、五条なら自分の真意を理解しているだろうという信頼があったのかもしれません。
さらに、彼が「呪ってくれ」と願ったのは、自分が五条に殺されることで五条に「呪い」という形で自分を記憶してほしい、あるいは、自分の死を五条の心に深く刻みつけてほしい、という歪んだ願いだった可能性もあります。
それは、彼が最後まで五条との特別な絆を求めていた証ではないでしょうか。
また、呪術師として呪いと関わり続けた彼なりの、ある種の「願い」や「呪術師としての本能」だったとも受け取れます。
夏油の最期の言葉は、彼らの間にあった深い理解と、ある種の諦念、そして決して断ち切れない絆を示していると言えるでしょう。
夏油傑の最期は、単なる悪役の末路ではなく、彼が抱いた理想と、それゆえに選択した悲劇的な道を象徴するものでした。
彼の最期の言葉は、読者に彼の人物像、そして『呪術廻戦』の世界観の深さを改めて感じさせるものとなっています。

最期のシーンは印象的だったよね


まとめ

今回は夏油傑について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
夏油は、自身が抱いたあまりに純粋な理想が、過酷な現実との間で歪み、悲劇へと転じてしまったキャラです。
その最期に五条と交わした言葉は、彼らの深い絆と、夏油の人間性、そして呪術師という存在の業を凝縮したものでした。
彼は悪でありながらも、多くの読者の心に強く残り続ける、複雑で魅力的な存在と言えるでしょう。